鬼灯学園の白昼夢

＿＿月＿＿日、硝子細工の万華鏡。
商業地区のビル群の中心、巨大交差点の中心でアートが世界に歪みを生み出す。
数人の桜草の生徒及び教師は歪みから現れたもうひとりの自分と戦わされ、最終的に入れ替わってしまう者が何人か現れる。
異世界から現れた者、つまりそれは亜人である。亜人とは、この世界で眠る幼い子供たちが見ている夢の具現化である。
君達が使っているヴィジョン、それは空気中に漂うゼル粒子が君達の脳波に反応して発生させている現象である。このゼル粒子は元々、人の夢の中に侵入して自由意思を書き換えて敵国の戦意を根元から立ち去り世界から争いを失くす為の兵器、通称【メア】の媒介として使われていたものであり、就寝中の夢や願望と言う意味の夢と深く結びつくものであった。
メアの操作を人間が行う扁平的な采配を良く思わなかった研究者はその采配を人工知能ラプラスに任せた。
ラプラスは人々が幸せに成る為に演算を行い、今までの歴史上、約４度の「世界を幸福にする為のプログラム」を行ったがすべて失敗に終わった。
今回、ラプラスの代替品としてこの世界で機能しているラプラス･レプリカント通称【ラプラスＲ】は当たり前の幸せを謳歌出来ない幼くして生活の自由を奪われた子供達に着目した。
目を覚ます事も許されず病室で眠り続ける子供達の意志とその夢の中の人物を具現化させたラプラスＲによって亜人は存在している。

＿＿月＿＿日、ヘシオドスの鎌。
工業地区の海岸側にて猟奇殺人鬼ラミーが桜草学園の生徒達によって討伐される。
形有る物体全てを操作できてしまうラミーを討伐した桜草学園の生徒達にその後変化はない。


ラプラスＲによって亜人を生まされた「選ばれた子供達」を殺せ。

＿＿月＿＿日、岩礁の妖婦。
アート、ラミーと同じく亜人を暴れさせて亜人の評価を下げて亜人を追放しようとしている組織が動き始める。
同時に10年前に桜草学園の生徒達と共に戦ったジョシュアという男が病死する。
ンリュティヤという女性はこの世界に来たばかりの亜人たちにこの世界の事を教えて世界に馴染めるように支援する施設に通う亜人の女性である。彼女はジョシュアというその施設で働く盲目の男性に恋をしている。
亜人支援施設から突如として姿を晦ませた【ンリュティヤ】はその声で無条件に人を発狂させる能力を持っている為、とある組織にその能力を緩和してもらうという交渉の最中だろう。桜草学園の生徒達がンリュティヤを捜索するよりも先にジョシュアという男と、ンリュティヤに会う事だ。
彼女の能力は液体を自在に操る事が出来る。彼女が君達の味方に着けば動きやすくなることは間違いない。


早く「選ばれた子供達」を殺せ。

＿＿月＿＿日、感染する軍楽隊。
亜人たちを追放しようと動いている組織の実体が明らかとなる。アルバス･トニトルスと同じ異世界からやってきたツェツィーリア・アオスブルフ率いるツワブキ研究所が亜人たちを追放しようとしていた。
その理由はこの世界がラプラスＲの力によって亜人だけの世界に成ってしまう可能性が非常に高いからである。
ラプラスＲの幸福論が完結した場合、この世界の人間は一切なくなり、亜人たちだけが生活する世界となり、も
ともとあった人間界は全ての記憶や記録から抹消される。
それを食い止めるには亜人の根源である「選ばれた子供達」を全員殺す事である。そうすることで亜人たちは全て消え去り、人間が抹消される未来も無くなる。
つまり、人間か、亜人か、選ぶ必要があるという事だ。

＿＿月＿＿日、ユングはそれを心と呼んだ。
ツワブキ研究所にて亜人たちの粒子制御装置に細工し、更に桜草学園の生徒達が追ってきたら攻撃するようにそそのかした亜人であり100年前の異国の英雄ツェツィーリアが確保された。
彼女が云うには、亜人たちはこの世界に居てはならない存在であり、共存しようとすれば世界は混沌に包まれてしまうとのことだった。故に彼女は亜人を追放する様に世論を裏で操り、自分を含める亜人を追い込もうとしたが、彼女の作戦は桜草学園の生徒達に捕まった事によって中断された。
しかし、組織に所属して居た最後の亜人、アビゲイルが桜草学園の生徒達を引き付けている間にツェツィーリア達は桜草学園から脱出した。
ツェツィーリア達、ツワブキ研究所の者達は「選ばれた子供達」を殺すと宣言して消え、桜草学園の生徒達には選択が迫られる。

＿＿月＿＿日、落葉の秋めくアウラ。
世界は、混沌に呑まれる。
生まれ変わった世界はアウラフォールと呼ばれる。
人間は消失する。お前も消えてなくなる。

そうなるまえに、えらばれたこどもたちをころせ。